こんにちは。鈴蘭です。
今回は前回に引き続き、今年のラスカー賞に関する記事を書いていこうと思います。
まずは、基礎医学賞から一緒に見ていきましょう。
2026年のラスカー賞基礎医学賞は、日本の睡眠研究を世界に押し上げた大発見が評価されました。受賞したのは、筑波大学の柳沢正史教授。その功績は「オレキシン」という脳内物質の発見です。
オレキシンは、私たちの睡眠と覚醒をコントロールする重要な物質。この発見によって、睡眠の仕組みが“化学的に”説明できるようになり、不眠症やナルコレプシー(睡眠障害の一種)の治療法開発が大きく進みました。
オレキシンとは何か:眠気をコントロールする脳内物質
オレキシンとは、一言で言うと「眠気をコントロールする脳内物質」です。
脳の視床下部という場所で作られ、「起きていよう」とする働きを維持する役割を持っています。
オレキシンが十分に働いていると、私たちは日中しっかり覚醒できます。逆にオレキシンが欠乏すると、突然強い眠気に襲われる「ナルコレプシー」が起こります。
オレキシン発見のストーリー:睡眠研究の“空白”を埋めた大発見
1990年代まで、睡眠の仕組みは謎が多く、「なぜ眠くなるのか」「どうやって覚醒状態を維持しているのか」といった基本的なことすらよくわかっていませんでした。
そんな中、柳沢教授らは脳内の未知のペプチド(小さなタンパク質)を探索する研究を進めていました。その過程で見つかったのがオレキシンです。
発見後の研究で、オレキシンが欠乏するとナルコレプシーが起こることが判明。睡眠の仕組みを理解する上で、決定的なピースが埋まった瞬間でした。
オレキシン研究が医学を変えた:不眠症治療薬からナルコレプシー治療まで
オレキシンの発見は、医学にも大きな影響を与えました。
- 不眠症治療薬(オレキシン受容体拮抗薬)の開発 → 従来の睡眠薬とは異なる作用で、自然な眠りを促す薬が誕生
- ナルコレプシー治療薬の開発 → オレキシンを補う治療法が実現し、治療薬が2026年に相次いで承認された
- 睡眠研究の新しい基盤ができた → 睡眠を「脳内物質の働き」として理解できるようになった
基礎研究が医療を変える典型例と言えるでしょう。
ラスカー賞受賞理由:基礎研究が医療を動かした瞬間
今回のラスカー賞基礎医学賞は、以下の点が評価されました。
- オレキシンの発見
- 睡眠・覚醒のメカニズム解明
- ナルコレプシーの原因解明
- 新しい治療法の道を開いたこと
「睡眠の仕組みを根本から変えた研究」として、世界的に高く評価されています。
最後に
オレキシンの発見は、睡眠研究の歴史を大きく塗り替えました。基礎研究が医療につながる好例として、今後も多くの研究者に影響を与えるでしょう。
また、個人的には、柳沢先生が会見で仰っていた「純粋な探求」としての研究を軽視することによる応用研究への影響についての発言が、とても強く共感しました。
「面白そう」から始まる研究が増え、医学の発展につながる。そんな未来が来ると良いなと思いました。
次の記事では、同じく日本人が受賞した 臨床医学賞(血友病治療薬ヘムライブラ) について紹介します。ぜひ読んでみてください。


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